お金の為だけでなく楽しく働ける職場を見つける

仕事探しの基本は、過去の経験を活かせる職業に就くこと。
でも時代の変化によって、過去の経験が陳腐化して上手く活用できないケースがある。

そのような場合はキッパリ過去は捨てる。
割り切りが大切。

何故ならば、一昔前のスキルを武器に働こうとしても、仕事のやりがいを得にくい。
さらに給料も安い。
それでも本当にその仕事が好きであればOK。
そうでないなら、新しい道を探そう。

60歳以上になって仕事探しをする時の鉄則。
「雇ってもらえそうな仕事を探すのではなく、やってみたい仕事に就く」
そのほうが圧倒的に心の充足度が増す。

未経験分野の仕事をどうやって見つけたらいいのか?

笑顔の絶えない職場

正社員にこだわらなければ仕事はある。
就業形態は柔軟に考えて、契約社員・派遣・非常勤嘱託という選択肢を持とう。
本当にやりたい事が出来る仕事だったら、バイトだって構わない。

というのも、正社員に限定してしまうと選択肢が急に狭まる。
「介護職」「警備員」「マンション管理人」「ドライバー」くらいしかない。

ところが非正規社員でも構わないとなれば、他にも選択肢はたくさんある。

【取材メモ】異業種へ転職を成功させた市橋さんの体験談

質問:前職の仕事と今の仕事内容を教えて貰えますか?

前職ではゼネコンで資材の法人営業を担当していました。
そして今はイベント会社で登山ツアーの企画&ガイドをしています。

建設現場

質問:転職したキッカケを教えてください。

会社の業績悪化で、57歳の時に早期退職を迫られました。
だから自らの意志というより、仕方なしに転職活動を開始したのです。
退職後は、人材会社の再雇用プログラムに沿って就職活動したのですが、良い企業に巡り会えずに1年が経過。
その後、人材会社のキャリア支援からは足が遠のきましたね。

質問:人材会社の再雇用プログラムは何が悪かったのですか?

彼等は基本的に過去しか見ていない。
私が今まで何をやってきたのかを何度も聞かれました。
職務履歴書も幾度となく作成。
それを元に就職可能な求人を見つけてくれるというやり方。

でも、私が退職した当時のゼネコン業界は最悪でした。
数少ない募集に私と同じようにリストラされた人間がたくさん応募。
何も取り柄のない50代後半の私が採用される状況ではなかったです。

質問:現在の職場はどうやって見つけたのですか?

今の職場は派遣会社の紹介です。
でもその前にNPO法人でアルバイトをやった経験から始まりました。

質問:アルバイトですか?

はい。
実は失業保険の給付が途切れても無職だったので、バイトを始めたのです。
山登りのツアーガイドの仕事を選びました。

別に専門的な知識があったわけではありません。
ただ単にアウトドアが好きな性格というだけでした。
あと気分的にも息詰まっていたので、森林セラピーにもなるかなって思っただけです。

仕事内容は段取りさえできれば勤まる内容。
高齢者が多かったので、山の知識より応急処置などメディカルケアの知識を叩き込まれました。

そのバイトは日給8千円ぐらいでしたが、とても楽しかったです。
この仕事を本業にしたいと決心しました。

山に癒される人々

質問:その会社でアルバイトから社員になったのですか?

いいえ、バイト先は個人経営の零細企業でした。
だからそのバイトをやりながら、派遣会社へ登録して職探しを開始しました。

質問:なぜ派遣会社だったのですか?

私が「山登りツアーの仕事をやりたい」と言っても、所詮バイトで少し経験がある程度。
そんな人をいきなり正社員として雇う企業はないと思いました。

でも派遣社員だったら可能性があるのではないかと思ったのです。
バイトで日々お客さんと接している中で、ニーズがあると確信していました。
そして派遣会社の担当者に相談して、仕事を探してもらったのです。

質問:その読みは当たったわけですね。

はい。
2年間派遣社員として働き、3年目に正社員登用となりました。
派遣会社を通して「正社員になりたい」という希望を伝え続けた結果です。

質問:今の職場は楽しいですか?

はい。
とても楽しいです。

前職より給料は下がりました。
でも楽しい事をやってお金を貰えるのは最高です。
もっと早く転職したかった。

もう子供達も独立しているので、夫婦2人の生活費を稼げばいいだけです。
「元気なうちはいつまででも働いていい」と言われているので、歩けなくなるまでお世話になるつもりです。

派遣会社を利用してキャリアチェンジ

市橋さんの体験談でも語られていたように、中高年が派遣会社を利用して好きな仕事へ就くというケースは急増している。

「派遣社員=若い女性」というイメージはもう古い。
企業は徹底的に合理化を進める過程で、あらゆる部門の人材を派遣社員に切り替えている。

そこで活躍しているのは、50歳以上のエルダー派遣社員。
定年後の再就職先探しとして派遣会社に登録して、上手くいっている人が大勢いる。

成功している人達が口にするのは、「お金じゃない、楽しい職場で働ける幸せ」。
中高年にとって登録制派遣バイトはキャリアチェンジの有効手段となっている。

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